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白い雪【名探偵コナン】

第18章 3人の容疑者──bourbon


DNA鑑定の結果が出るまで、店の中に待機していた面々だったが、しばらく待つと鑑定結果が出た。
伴場さんのヘアブラシに付いていた毛髪は、伴場さんの髪だと断定されたらしい。
任意同行を求められた伴場さんは渋々といった体で店の外に出ようとした。だがそこで、小五郎さんに麻酔針が刺さる。

「いいのか?伴場!本当に……」
「え?」
「『この店から出ちまってもいいのか?』って訊いてんだ!」

小五郎さん──いや、コナン君は伴場さんにそう尋ねた。伴場さんは「しゃーねぇだろ?」と答える。

「こーなったら警察で無実なのを分かってもらうしか……」
「そうか……だったらお前は……犯人じゃねぇよ!」

そしてコナン君は話し始めた。

この店から駐車場に出る扉は、雨が降っていたために鍵がかけられていた。
トイレの窓の下の大きな水たまりの周りに犯人の足跡がなかったため、そこからの出入りもありえない。
となると、店の正面の扉から出るしかないのだが、この結婚パーティの主役である彼が店から出ていったのなら誰かが見て覚えているはず。

だが、そんなコナン君の主張も、安室さんはフッと鼻で笑った。

「誰も見ていないのではなく、気づかなかったと……僕なら推理しますけどね……」

安室さんの推理はこうだ。
あらかじめトイレに変装用のニット帽や丈の長いウインドブレーカーを隠しておき、トイレで変装した。そして彼はみんなの目を盗んで堂々と外に出たのだ、と。
燃える直前にかけた電話も実はフェイク。
本当は、変装をして店を出て駐車場で彼女を待ち伏せて、彼女が車から降りた時に電話をかけたのだ。
その電話に気を取られ、背後の注意が疎かになった彼女を気絶させるために──

そして、少々抵抗はされたものの、何とか彼女を車の中に押し込んだ伴場さんは車に火をつけた。
そして急いで店に戻り、トイレで変装を解き、ウエイターである安室さんにわざとぶつかり怪我をすることで彼女に抵抗された引っ掻き傷をごまかした。

「後はおもむろに彼女に電話するフリをして、彼女が遺言めいた言葉を言っているように周囲の客に思わせ……窓の外に目をやって炎上する彼女の車を客たちに気づかせれば、目の前で愛する女性に自殺された悲劇の男の出来上がりというわけですよ……」

変装に使った服はハサミやナイフで切り刻み、トイレに流したのだろう。

「靴はどうした?」

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