第18章 3人の容疑者──bourbon
ちなみに、その密会以来初音さんと安室さんは会っておらず、探偵を雇って彼女を調べていたのがバレたら嫌われると思い、彼女本人に確認することはしなかったという。
「でもさー、おかしくなーい?」
「へ?」
コナン君が不意に口を開いた。
「普通、車の人が乗る場所って燃えにくいもので作ってあるのに、何であんなに燃えてたの?」
「あ、確かに……。時々爆発してたし……」
私は安室さんの背中からひょこっと顔を出して言った。
途端に周りの人がざわめく。
「ね、ねぇあの人……」
「え?嘘でしょ……」
「だって写真とそっくり……ホラ!」
「え〜!?」
「マジかよ!」
どうやら注目の的は私のようだが──
「あ、あのぅ……」
「はい?」
1人の女性に声をかけられた。
「もしかして、最近デビューした歌手の“瀬里奈”さんですか?」
「そ、そうですけど……」
「やっぱりー!」
わあっと人が私の周りを囲む。
「ちょ、まだ事件は解決してないから……また後で、お願いしますっ!」そう言ってやっと解放してもらう。
「そ、それで……何で爆発してたんですか?」
やっとの思いでコナン君達のいる方へ向かう。
どうやら爆発したのはスプレー缶らしく、他にも紙や段ボールなどが会ったため、それらに引火したのだという。
「何故そんなものが車内に?」
目暮警部に訊かれ、伴場さんは答えた。
「今夜、パーティが終わったら2人で車に型紙当ててスプレーでデコる予定だったんだよ……。そのデコった車で2人で結婚式場に乗り込んでみんなを驚かしてやろうって……。も、もちろんみんなには内緒だったから誰も知らねーと思うけど……」
目暮警部は伴場さんから借りた携帯でメールを見ていく。「ん?」
「今夜8時18分に『あと30分で戻る』という内容のメールが彼女から届いているようだが……」
……ということは……
「あなたは車内に可燃物が大量にあったことも……彼女がこの店に戻ってくる時間も知っていたというわけですな?」