第18章 3人の容疑者──bourbon
──第三者side
雨風が強い夜。『Ristorante Sundayrino』はいつもより賑わっていた。理由は簡単。
「頼太君!初音さん!
──結婚おめでと〜!!」
祝福の声。クラッカーの音。
伴場頼太と加門初音の結婚パーティが行われているのだ。
賑やかな会場。店は貸切になっており、店内にはスタッフとパーティに来た人たちだけ。
「よっ!ご両人♡妬けるねぇ!!」
小五郎がボックス席から声をかける。新郎の伴場が照れ笑いをした。
「式は明日!俺達まだ結婚したわけじゃないんだけど……」
初音が笑って言う。
「良いじゃない!今夜は前夜祭!式が終わったらすぐにハネムーンでパリに飛んじゃうんだから……」
相変わらず一緒に付いて来ている蘭とコナン。
蘭が向かいに座った伴場と初音の方へ身を乗り出した。
「お二人は一目惚れって聞きましたけど……」
「ああ……。出会った瞬間に運命を感じたよ!」
「やっと会えたって感じがして……」
2人は血液型も境遇も一緒で、たまに黙っていてもお互いの考えている事が分かるのだという。
「へぇー……」
蘭が感心したように言った。
と、運ばれて来たチョコレートケーキ。だがそれは──
ガチャン。
ケーキが皿ごと伴場のズボンに落ちてしまった。
「す、すみません!」
皿を落としたウエイターが謝る。
「あらー、ケーキ踏んじゃってるわよ!?」
「ズボンにもベットリだ……」
2人は驚いているが、ウエイターは「本当にすみません……」とまた謝った。
「自分、ここのバイト今日が初日で……」
「大丈夫!それよりズボンを拭くおしぼりとか持って来てくれる?」
「は、はい只今!」
眼鏡をかけていても分かる。かなりのイケメンだ。←
だが、おしぼりを持って来たのは彼ではなく──
「お待たせいたしました……。おしぼりをお持ちしました……。ウチの新人がご迷惑をおかけいたしまして大変申し訳ございません……」
女のウエイトレス。
小五郎、蘭、コナンはその人物に見覚えがあった。
「あれ、あなた……」
蘭のその言葉に、ウエイトレスは振り向く。
「え?──小五郎さん、蘭ちゃん、コナン君?」
「瀬里奈ちゃん!?」「瀬里奈お姉さん!?」「瀬里奈姉ちゃん!?」
──瀬里奈だった。