第18章 3人の容疑者──bourbon
それからまたしばらくした頃。
「小五郎さんとの接点?」
電話でそう切り出してきたのはバーボンこと安室透。
バーボンは私に話した。
『ああ……。ルシアンなら何とかなるでしょう?』
「なるっていうか……まぁ何とかしてみるけど……」
私はそう言ってため息をついた。そして話を変える。
「そういえば、あなたの依頼人の加門さん、面白いことが分かったわよ」
『面白いこと……?』
「ええ。彼女の旦那さん──伴場さんね、彼……小五郎さんの高校時代の友人だそうよ?」
そう言うと、バーボンは興味を惹かれたのか、『ホォー……』と電話越しに呟いた。
「あなた、今『Ristorante Sundayrino』って所でバイトしてるんでしょ?」
『そうですが……』
「今度、旦那さんの方の同級生たちを交えて結婚パーティをするそうだから……パーティ会場をそこにしてもらえれば、自然な形で小五郎さんと関わりが持てるんじゃない?って話」
私がそう言うと、バーボンは「ふむ……」と考え込んだ。
「どうするの?」
『……なら、君にも来てもらいましょうか……』
「はっ?」
驚きすぎて、変な声が出てしまった。
バーボンは気にせずに続ける。
『毛利探偵と関わりを持つなら、共通の知り合いである君がいた方が警戒も解きやすい。君は探偵事務所の面々と親しいようですしね……』
「いや、確かに仲は良いけど……。──これ仕事?」
『仕事ですね。じゃあ頼みましたよ、ルシアン』
ツー、ツー、ツーという電子音が流れる。
「あっ、ちょっ……」
私は慌てたけれど、もう遅い。はぁー、とため息を1つついて『Ristorante Sundayrino』へ電話をかけた。
「──あ、もしもし、そちら『Ristorante Sundayrino』様で宜しかったでしょうか。私、アルバイトの応募でお電話させていただきました工藤と申しますが……」
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