第18章 3人の容疑者──bourbon
そして世良は行動に出た。
「ねぇ!その携帯電話、ずいぶん長い間付けっ放しだけど。電池大丈夫?」
「あん?」
「ACアダプター繋げた方がいいんじゃないか?確か小五郎さんの机の引き出しに入ってたよね?」
世良は彼に親切にそう言った。爆弾男はその言葉を入れ、小五郎にACアダプターを出すように言う。
世良が不敵に笑いながら言った。
「あれ?いいの?自分でやらなくて……。
──小五郎さんが、引き出しの中に武器か何かを隠してたら……反撃されちゃうよ?」
その言葉で気づいたのか、彼は「どいてろ!俺が探す!」と言って引き出しに近寄った。
必然的に爆弾男が手前に移動する形になり、狙撃手の照準に入った。
世良はそれを狙っていたのだ。
爆弾男を狙撃しやすいように、手前に移動させるのが目的だった。
だが──
シャアアア。
蘭がカーテンを閉めた。
爆弾男が驚いて欄を振り向く。
「な、何やってんだてめぇ!?殺されてぇか!?」
「今夜は冷えるからカーテン閉めようと思って……。それにACアダプターなら戸棚の中……今、出してあげますから……」
蘭はカーテンを閉め、狙撃ができないようにした。
せっかくの解放のチャンスを棒に振ったのだ。
「君……何考えてるの?」
世良が呆然としつつ言った。
「目の前で人が死ぬのが嫌なだけ……」
蘭は世良とは目も合わせず言った。
「嫌って……」
「それに……
新一なら誰も死なせたりしないから!絶対!! 」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──瀬里奈side
私はほうっと息をついた。
蘭ちゃんナイス。よくやった。
でもどうする?狙撃はできない、犯人を刺激せずに事を丸く収めるには──
……どうするの、新一?
《さぁ、工藤新一!推理の材料は全て出した!妹を殺ったのは誰なんだ!?
それでも分からねぇんなら仕方ねぇ!悪いがこの事務所ごと吹っ飛ばさせてもらう!俺は妹を殺ったネズミを……ブチ殺してぁだけなんだからなっ!!!》
コナン君は静かな口調で話し始めた。
「大丈夫……落ち着いてください……。
ネズミの正体は分かりましたから……」
(!?)
私は内心驚いた。
まさか、犯人を名指しするつもり?ネズミを──