第18章 3人の容疑者──bourbon
「ゾウに……キツネに……ネズミか……」
私とコナン君がうーんと唸っていると、哀ちゃんが3人のプロフィールを探し当ててくれた。
ふくよかな体つきのおばさんは光井珠実さん。
41歳独身で、実家の石材店を手伝っている牡牛座のA型。
出っ歯で小柄なおばさんは湯地志信さん。
36歳のバツイチで、近所のパン屋さんで20年近く働いている魚座のB型。
長身で眼鏡をかけているおばさんは二瓶純夏さん。
39歳で旦那が印鑑職人。主婦の片手間にミステリーを書いている獅子座のO型。
「ちなみに、未紅さんの兄の沢栗さんも検索したら、サバイバルゲームのチームのリーダーで引っかかったわ……。チーム名はグリーンキャップ……」
「うわー……」
私は思わず呆れてしまった。
チームの名前はアメリカ陸軍特殊部隊、グリーンベレーのもじりだろう。
そこで子供達が帰って来る。
二瓶さんはとても礼儀正しい人らしく、知らない子供達が散らかしたシャンプーやリンスをきちんと片付けるほどだそう。
湯地さんは温泉好きで、1日に何回も入っていたらしい。
光井さんは未紅さんの部屋から青い顔をして慌てて出て来たそうだ。ちなみに目撃した人の部屋は、未紅さんの部屋の3つ隣らしい。
そこで、電話口から《おい……》という声が聞こえた。
《この携帯繋がってるじゃねーか!》
咄嗟にコナン君は蝶ネクタイ型変声機を使い、工藤新一の声を出した。
コナン君はまず、未紅さんの兄が持参した事件の資料を“全て”写メで撮り、阿笠博士のパソコンに送ってもらうように指示をした。
やがてパソコンに写真が送られて来る。
よく見ると、二瓶さんと光井さんのサイン本は、小口がギザギザだが、湯地さんのサイン本は小口が綺麗に揃っていた。
「こちらのモニターで見ると……二瓶さんのサイン本だけ、紙が歪んでるように見えるんですが……。実際に見てどうですか?」
《ああ……サインのページだけ、1回濡れて乾いたみてーに歪んでるぜ!》
「次に湯地さんのサイン本ですが……。手垢や傷みもなく……新品のように見えますが……本当に初版本ですか?」
《ああ……確かに初版本第一刷って書いてあるぜ……》
湯地さんは「大切に保管していたから新品のように見えるんだ」と弁解する。
「そして、光井さんのサイン本ですが……ちょっと破れていますよね?」
《あるぜ!破れた跡!》