第18章 3人の容疑者──bourbon
「せ、世良?って誰?」
よく分かっていない私は、コナン君にそう尋ねた。
コナン君が説明してくれる。
「前に杯戸ホテルで事件があってな……その時に知り合った探偵だよ……」
「た、探偵?」
その間にも、電話口から話し声が聞こえる。「スピーカーにしてもらえる?」私はコナン君にそう頼んだ。
《あんたが持って来たこの新聞のコピーによると、現場は完全な密室……しかもそれを証明したのは遺体の第一発見者であるあんた本人だ……。これのどこが自殺だと……?》
《音がしたんだよ……。ぐったりした妹を見つけて、救急車を呼んでる時に、窓の方からピキって……。んで窓の所に行って見たら、窓の外のベランダに細かいガラスの破片が落ちてたんだよ!俺は窓の外からガラスを割ったのに、おかしいだろ!?
こりゃーきっと、犯人が部屋のどこかに隠れてて……俺が窓ガラスを割って部屋に入り、妹に気を取られてる隙に……その割れた窓からこっそり出て行った証拠だよ!!》
ちなみに、彼はその時窓の外には出ていないため、自分で窓の外に持って行ったという線はないらしい。
《あんた……カッとなると後先考えずに行動しちゃうタイプ?》
《ああ……。サバゲー仲間にはキレやすい奴だってよく言われるよ……》
若い女性の声だ。
「これが世良って人?」コナン君に訊くと、彼はこくっと頷いた。
《だったら、あんたの推理もまんざら的外れじゃないかもね……。あんたと知り合いのこのおばさん達なら……あんたのその性格知ってて利用できそうだしね……》
そして、その兄が撮った写真では、風呂場のドアの前のバスマットに血の指の跡が付いているらしい。
《そいつは多分、妹が犯人に手首を切られた風呂場から……必死で抜け出そうとして付いた血の跡だ!でなきゃそんな所に血なんて付かねぇだろ!?》
《でもだからってあの3人を疑うのは……》
《事件直前にこの3人は、妹の部屋に行ったんだよ!だよな?》
彼は誰かに同意を求めたらしい。その誰かは、やはりそのおばさん3人だったようだ。