第17章 赤と黒のクラッシュ──Kir
そして電話をかけた相手は──
『はぁ!?キャメルが殺人事件の容疑者になってる!?』
ジョディさんだ。
『それ本当なの瀬里奈さん!?』
「ええ……。事件のあったホテルの階段を使ってトレーニングしてたみたいで……」
そしてジョディさんが警察に事情説明するためにこのホテルに来ることを確認し、電話を切った。
「お待たせコナン君、キャメルさん。──ジョディさんが来るみたいですから、もう平気だと思いますよ……」
キャメルさんにひそひそと耳打ちをする。するとキャメルさんは、安心したように大きく息をついた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「エ、FBI!?人相の悪いその男がかね!?」
「ええ……FBI(ビュロウ)に顔の審査はありませんので……」
到着したジョディさんから説明を受けた目暮警部と高木刑事は驚きを隠せなかった。
「でも何で?」
目暮警部に怪訝そうに訊かれ、ジョディさんは答えた。
「私がFBIの仕事をミスして、日本に傷心旅行ひ来ているのは知っていますよね?」
「え、ええ……」
「だからなかなか帰ってこない私を心配して来てくれたんです……。
だってアンドレ・キャメルは私の恋人なんですからー♡」
ね、ダーリン♡とキャメルさんに相槌を求めるジョディ。それを見ていたコナン君と私は、「ハハ……」と呆れ笑をした。
「それで?何でまだ日本にいるのかね?」
「それと、何か日本語上手くなってません?前は『そうデース』とか言ってたような……」
目暮警部と高木刑事にツッコまれたが、ジョディさんは無理やりな説明を付け加える。
「だ、だからー、日本語の上手なアンドレに特訓されたらメキメキ上達して、日本から離れにくくなっちゃって……。ね、ダーリン♡」
「は、はい、全くその通りで……」
だがFBIだとしても容疑者には変わりない。疑いが晴れるまではここにいてもらうことになった。
と、千葉刑事が屋上のレストラン街のトイレの用具入れの中から、紙袋を見つけて来た。
中身はレインコートと手袋と拳銃。犯人が使用したものと思われる。
「なるほど……となると、容疑者の3人の服を調べても硝煙反応は出ない可能性が高いな……」
「ええ……それに、犯行時の服を捨てたのなら、満員のエレベーターにも無理して乗れるかも……」
目暮警部と高木刑事がそう話していると、コナン君が口を挟んだ。