第17章 赤と黒のクラッシュ──Kir
「そうデス!でも私うまく日本語書けないノデー、秘書でもやってお勉強しろと言われマシター!」
だが彼女にとって漢字は難しいため、今でも社長からのメールは英語にしてもらっていたという。
「ウーム……それにしても顔も名前も分からんとなると……犯人を割り出すのは骨だな……」
目暮警部が困ったような顔をした時、高木刑事が「いえ警部!」と声をかけた。
「2人見つけました!日本語ペラペラの怪しい外国人を!!」
高木刑事が連れて来た外国人は、太った黒人の男──ハル・バックナーと、彫りの深い顔立ちをした細身の男──トビー・ケインズ。
「……どの辺が怪しいんだね?」
事情を知らない目暮警部がそう思うのも無理はない。
高木刑事が説明を加えた。
「1人は屋上のレストラン街をうろついていて、もう1人はそこのトイレに潜んでいたんです!」
「だからそれで何で怪しいと?」
「コナン君に言われたんですよ……エレベーターが1基しか動いてないなら、今挙げた場所にいる外国人が容疑者だと!」
高木刑事がそう説明すると、目暮警部は呆れたように苦笑いした。
「また勝手に事件の内容を話したのかね?」
「す、すみません……。つい……いつもの癖で流れるように……」
そんな目暮警部の苦言に歩美ちゃん、光彦君、元太君が口々に反論する。
「で?その2人しかいなかったのか?」
「あ、いえ……。今、階段を千葉達に調べさせている所で……」
高木刑事がそう言い終わる前に、千葉刑事が戻って来た。
「警部!もう1人いました!! 汗だくで階段を降りていたかなり怪しい外国人が!!」
そして千葉刑事に連れられて部屋に入って来た外国人とは──
(きゃ、キャメル捜査官!?)
「ど、どうして……!?」
コナン君が驚いたように言った。キャメルさんはシッ……と口の前に指を立てる。
「え?あの人確か、ドライバーの人よね……?」
「ああ、でも……」
どうやら、FBIの捜査官として日本に来ていることは警察には内緒らしい。でも──
(でも何でこのホテルにいたの?そしてなぜにジャージ姿?)
私とコナン君はきょとんとしながらキャメルさんを見ていた。