第17章 赤と黒のクラッシュ──Kir
──第三者side
キール奪還作戦からしばらく経った、13日の金曜日。
コナン達少年探偵団は、博士にレストランのバイキングに連れて来てもらっていた。
「へー……CIAだったのね、あの水無怜奈ってアナウンサー……」
「ああ……」
コナンは灰原と話しながら、サッカーボールを蹴っていた。
「彼女が再び黒ずくめの組織に潜り込んでくれたお陰で、やっと目処が立ったってわけさ!」
そしてコナンは灰原の方を向いて嬉しそうに笑った。
「奴らを潰す目処がな!上手くボスに辿り着けば、それこそ一網打尽だぜ!」
灰原はそんなコナンに釘を刺すように言う。
「……まぁ分かってるでしょうけど、あまり彼らを侮らないように……。特にジンは……」
「ああ……分かってるさ!」
なおもボールを蹴りながら生返事をするコナンに、灰原は呆れたような顔をした。
「それで?その瑛祐って子、証人保護プログラムを受けるって言ったの?」
「いや……嫌がってるって聞いたよ……。FBIの人達が説得してるらしいけど……」
「でしょうね……」
「まぁ、名前も国籍も変えて全く別人になっちまうシステムだから仕方ねぇけど……」
コナンは背中に回したボールを手に取る。灰原が心配そうに言った。
「でも大丈夫?その子、私と違って勝手に無茶しそうだし……」
「大丈夫だよ!今んトコそばにジョディ先生や赤井さんがついてるし……」
コナンがそう話すと、灰原が「その赤井って人……一度会ってみたいわね……」と言い出した。
コナンとしてはあまり会わせたくないのだが──
「まさかその人、ロリコンとかじゃないでしょうね?」
灰原が疑いの眼差しでそう言う。「んなバカな!」とコナンが思わずツッコむ。
そして今日のバイキング会場であるニュー米花ホテルに着いた。
そこでコナンと灰原、阿笠博士は見覚えのある人物を見かけた。
「……瀬里奈!?」
瀬里奈がサングラスをかけて、誰かから隠れるように会場に来ていたのだ。