第17章 赤と黒のクラッシュ──Kir
青いバンを追っていると、車がいきなりドリフトした。そしてガードレールにぶつかり、止まる。
ジンは車を停め、様子を見に外へ出た。もちろん、私もパソコンや何やかんやを片付けて外に出る。
すると、バンの助手席からキールが飛び出して来た。
「キール!」
キャンティが嬉しそうに声をかけた。キールはどうやら停止時に腕に怪我をしたらしく、「イタタタ……」と腕を押さえていた。
「どういうことだ?なぜ車が止まった?」
ジンが怪訝な顔をして問う。キールは車を振り向いて言った。
「FBIの無線であなた達が助けに来たのが分かったから、隙を見て、持たされていた爆弾のケースで運転手を殴ってサイドブレーキを引いたのよ!」
さすがキール。咄嗟の機転は良く効く。
「じゃあFBIに入院させられていたけど、意識はあったのね?」
「ええ……2、3日前に戻ったわ……。FBIはずっと昏睡状態だと思ってたようだけど……」
一通りの説明を聞いた後、ジンはキャンティにFBIの運転手を殺害するように命じる。
だが、彼女が撃とうとした瞬間──
ドォン!!!
「ば、爆発!?」
「まさかあのバカ、信管抜かずにポケットにしまっていたんじゃ……」
ウォッカとキャンティが驚きながら言った。キールも少し目を丸くさせながら話す。
「もしかしたら、さっき車がぶつかったはずみに偶然信管がはまったのかも……」
そしてその爆発を目にした野次馬達がどんどんと群がってくる。
「キール、ルシアンは俺の車に……。ズラかるぞ!」
そして黒いポルシェと4台のバイクはその場を去った。ガードレールの陰で、爆死したと思われていた運転手──キャメルが電話をかける。
「せ……成功しました……」
その相手とは──
「御苦労……よくやった……」
──赤井秀一だった。
彼は隣にいたコナンと顔を見合わせ、──ニヤリと笑った。