第17章 赤と黒のクラッシュ──Kir
そう話していると、ベルモットから新たな情報が入った。
《すごい……抜きまくってる。あの調子だと1分足らずで2台目に届くわよ!コルンがマークしていることに気づいたのね!! 》
赤井さんが派手にごぼう抜きをして、2台目に追いつこうとしているらしい。
──おかしい……。いつもの赤井さんらしくない……。
「ビンゴは2台目!コースを変えて、アタイはコルンに合流するよ!」
キャンティが興奮したように言った。ウォッカもコルンに合流しようとする。
「んじゃあ俺もコルンの所に……このまま囮に付き合ってても埒、あきやせんし……」
コルンは赤井さんが来たら撃つつもりらしい。だが──
「待てコルン!脇道 に入ってコースを逸れろ!
俺達が追うべきは──ウォッカが追っている3台目……キールはそこにいる!」
──あの赤井さんが派手に車をごぼう抜きして、護衛の車に目を付けさせるなんてヘマはしないはず。これは組織をハメる罠と考えていいだろう。
ウォッカの追っている3台目は、運転しているのはFBIでもその隣にいるのはキール。彼女は担架で後部座席に寝かせていると組織が思い込んでいると考え、その裏をかいたつもりなのだろう。
つまり、一度どこかに移動したと見せかけて、また同じ病院へいけしゃあしゃあと舞い戻る算段だったというわけだ。組織が2度とその病院を捜すことはないと踏んで──
そしてバイクの4人とジン、私はウォッカの追っていた3台目を追い始めた。