第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜
「何を思いついてんや!」
私とコナン君は道のそばにある石を見た。
「これは……!」
2人で揃って声をあげる。
石には──『玉龍寺跡』と彫られていた。
「玉龍寺……!?」
後から追いついた平次君も驚きの声を上げていた。
「絵にあった点はこっちか!」
「ああ」「そうみたいね」
コナン君と私がそう返事をすると、平次君のケータイがまた鳴った。
「ん?……和葉か」
そう言いながら電話をとる。
「オレや……」
電話に出た平次君の表情が変わった。
しばらく無言だったが、血相を変えて「和葉!? 和葉!」と電話口に向かって叫んだが、電話は切れたらしい。
「……服部?」
「平次君……?和葉ちゃんに何かあったの?」
そう尋ねる2人に、平次君は焦りの表情を浮かべて答えた。
「和葉が……和葉が攫われてしもた……」
「何ッ!?」「えっ!?」
犯人の要求は、『1時間後、1人で鞍馬山の玉龍寺に来い』というものだった。
だがコナン君は、「……上等じゃねーか」と不敵に笑った。
「今からそこに乗り込んで──」
「平次君!?」
私は思わず叫んだ。──平次君のが倒れたからだ。
彼の体を抱き止めるが、苦しそうな表情のまま。私はケータイを取り出し、救急車を呼んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──灰原side
その頃。私は戻橋の案内板を読んでいた。
“父の死を遠くで聞いた子が急いで京都に戻ってみると、その葬列はちょうどこの橋の上を通っていた。その時父は一時的に蘇生し、父と子は言葉を交わしたという伝説がある。”
その興味深い看板をじっくり読む。
そこへ──
「……もしもし?」
ある人物から電話がかかって来た。
「──えっ!?」
私の目は驚きに見開かれた。