第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜
「……ちゅーことは、自分も京都出身なん?」
平次君の問いに、千賀鈴さんは「へぇ、そうどす……」と答えた。
「歳は?」
「19どす……」
3人はハッと目を丸くした。「19……!?」
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「ここが御池通りどす……。ほな、うちはここで……」
千賀鈴さんは一礼して3人の元を去って行く。コナン君が慌てて「さよなら」と挨拶すると、千賀鈴さんも「さいなら」と返してくれた。
「お前、まさか彼女が……」
「間違いない、京都出身で歳もオレより2つ上やしな……」
その会話に、私は小さくため息をついた。
「でも、京都の子はみんな歌えるらしいし……。その子が京都出身とは限らないでしょ?現に私も歌えるし……」
「えっ?」
あ、口が滑った。私は慌てて口を押さえるが、もう遅い。
「……何で自分歌えるん?」
「え、えーと……あのー……」
あたふたしている内に、平次君の携帯が鳴った。相手は大滝警部らしく、かなり叱られたようだ。
短刀からは桜の血液型と同じ血液型が検出され、切り口も一致したらしい。
「これでオレを襲った翁の面が、桜さん殺した犯人に間違いないっちゅー訳や……」
「そうなると……凶器を処分する方法のなかったあの4人は犯人じゃないってことになるな……」
そう言いつつ、3人は山能寺の山門に立った。
寺には桜が咲き誇り、奥には格子の窓がある本堂が見える。平次はそれを見て目を眇めた後、ふっと表情を緩めた。そこへ。
「コナン君!何してるの?」
少年探偵団の歩美ちゃんと光彦君が駆けて来た。
「オメーらどうして……」
「クイズに答えられたご褒美に、博士に連れて来てもらったの!!」
後ろを見ると、博士と哀ちゃんがいる。
「お姉さんにはメールしたんだけどな……」
「えっ?メール?……あ、ホントだ。気づかなかった……ゴメン」
歩美ちゃんに言われ、 私は慌ててケータイを出す。と、歩美ちゃんからのメールが入っていた。