第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜
「何ぃ!? 桜さんが伊勢三郎!?」
山能寺に戻った後、私達3人は調べて分かったことを小五郎さん達に報告していた。
「ああ……桜さんは『源氏蛍』のメンバーやったんや……」
その言葉に、小五郎さんがムムム、と難しい顔をする。
大方、数字が付いているメンバーが殺されたことから、数字の入っている自分が殺されるのではないか──そんなことを考えているのだろう。
そしてそんな私の予想は当たり、平次君とコナン君に呆れ顔をされた。どうやら前にもあったらしい。
「ねぇ!桜さんの家にあった絵がコピーだったってことは、本物は桜さんが持ち歩いてて、それを犯人が盗って行ったんじゃない?」
コナン君が子供の声になってそう言った。平次君が目を輝かせて言う。
「なるほど!犯人は桜さんが絵をコピーしてるとは思わんかったんやな?」
「それで……犯人は一体誰なん?」
和葉ちゃんが心配そうに訊いた。私は苦笑して答える。
「そんな簡単に犯人が見つかったら、警察も探偵も苦労しないわよ。分からないから調べてるんだし」
「そ、そやな……」
「あっ……ごめん、言い方キツかった?」
普段はこれで慣れているから気づかないが、私はたまに言い方がキツイ時があるらしい。そこで平次君が和葉ちゃんの質問に答えていく。
「オレは竜円さんか西条さん、水尾さん、千賀鈴さんの誰かやと思う……」
「ええっ!?」
蘭ちゃんと園子ちゃんが声を揃えて驚いた。
「で、でも誰も凶器持ってなかったわよ?」
「あんた達が抜け出した後で、身体検査されたんだから!」
そう言う2人に、平次君は勝ち誇ったように言った。
「まぁ、人を殺めた後で凶器持ってるアホはおらんからなァ……。どっかに捨てたか、隠したかしたんやろ……」
「でも……」
その言葉に蘭ちゃんがきょとんとして言った。
「店の中からは見つからなかったみたい……」
「みそぎ川は?」
私は口を挟んだ。コナン君も同調する。
「地下の廊下奥のガラス窓から捨てたんじゃない?」
「でしょー!?」
バン、と机を叩く音がした。園子ちゃんだ。
「私もそう思ったの!」
「へ?」
不思議そうにしている抜け出し組に、蘭ちゃんが説明を加える。
「園子がね、みそぎ川で何かが落ちた水音を聞いたって言うのよ……」