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白い雪【名探偵コナン】

第15章 映画編・迷宮の十字路 〜前編〜


和葉ちゃんが「ここに残る」と言う平次君に、「あの舞妓さんが気になるのん?」と疑いの目を向ける。

「……これはこれは」

私は小さく苦笑した。──平次君の初恋の話は、桂羅について調べている内に小耳に挟んでいる。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

その後も千賀鈴さんと舞妓遊びをしている小五郎さん。障子にもたれている平次君が呆れたように「エンジン全開やな……」と言った。

「まぁ、たまには脳味噌を休ませるのも大切だから……」
「いっつも休んでんだろ、おっちゃんは。眠りの小五郎なんだからよ」

コナン君がさらりと皮肉る。私は「はは」と苦笑するにとどめた。

そこへ竜円さんが戻って来る。どうやらトイレに行っていたらしい。彼と入れ替わりに西条さんがトイレに行くべく席を立った。千賀鈴さんも揃って立とうとしたが、西条さんがそれをとめた。

「……あら、月が出て来た」

私はふわり、と微笑んだ。コナン君も後ろを振り向き、懐かしそうに目を細める。

「月か……」

2人の反応に疑問を抱いたのか、平次君がきょとんとした顔でこちらを向いた。

「何や?」
「いや……前に蘭と待ち合わせした時のことを思い出してな……」

──新一が約束を思い出した頃には、既に2時間も遅刻していた。まさか蘭が待っているとは思わなかったが、新一は一応待ち合わせの場所に向かってみた。

『……誰?』
『わ、悪ィ蘭……実はオレ、すっかり……』

忘れていた、と言おうとした新一の言葉を遮るように、蘭がニコッと笑った。

『よかった……。新一の身に何か起こったんじゃないかって、心配してたんだ……』

──回想を終えたコナン君は哀しそうな目をしていた。平次君はそれに気づいてか気づかずか、コナン君のことを小突く。

「そん時やろ?あの子のことただの“幼馴染”や思ってたんが変わったんは」
「バッ、バーロー!んなんじゃねーよ……」

そんな2人のやりとりを微笑ましく見る。

「たまには素直になっておいた方がいいわよ?特に、蘭ちゃんには無用な心配ばっかかけてんだから」
「瀬里奈まで……」

コナン君は呆れた声を出したが、平次君は明るく言った。

「お、姉ちゃん分かっとるやん!」
「ふふ、そないでしょ?」

思わず口が滑る。と、2人は怪訝そうな顔でこちらを見ていた。

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