第15章 映画編・迷宮の十字路 〜前編〜
犯人は2人が追って来ているのを確認した後、山道に逸れた。
途中の吊り橋では、平次達が通っている時に縄をナイフで切られた。
「何てことすんねん!」
平次が叫ぶが、それで応えるような犯人ではない。
やがて山道を抜け、2台のバイクは鞍馬駅に突っ込んだ。駅員が「列車が発車しますのでお急ぎ下さい〜」と言っているそばから改札に突っ込む。駅員さんは「い、いや……そんなに急がんでも……」と呆気にとられているようだった。
ホームを通り抜け、線路に降りる。
コナンが「ここ線路だぞ!」と注意するが、平次は「気ィ散るやん、話しかけんなや!」と取り合わない。コナンは内心呆れ笑いをしていた。バレれば道路交通法違反で免許停止だ。
と、犯人がいきなり煙幕を取り出して平次達の方に向けた。一瞬で周りは白く煙る。
「……!? 何のつもりや……!」
犯人の意図が分からず平次がぎょっとした刹那、目の前には電車が通って来ていた。
慌ててバイクを横に逸らすことで電車との接触は回避できたが──バイクが横転し、2人ともが投げ出されてしまったため犯人を取り逃がしてしまった。
平次が悔しそうにそばにあった煙幕の筒を踏み潰す。
「くそっ!後もうちょっとやったのに……!」
2人はヘルメットを外した。
「やっぱり今の奴、『源氏蛍』のメンバー殺害した犯人なんやろな?」
「ああ……だがなぜお前を狙ったのかが分からねぇ……」
コナンは厳しい顔つきになった。