第15章 映画編・迷宮の十字路 〜前編〜
「蘭ちゃん……そういう問題と違うんやけど……」
「でも、気にすることないんじゃない?たとえ服部君に初恋の人がいたとしても、それはもう昔の人!今は和葉ちゃんといい感じに見えるよ?」
蘭がそう励ますが、園子はニヤリと笑いながら言った。
「でもね〜……男にとって『ファーストラブ』は特別だから……」
蘭に「園子!」と咎められ、園子は「えへ」と舌を出した。そして和葉は「もう、こんな辛気臭い話はやーめた!」と無理やり話を切り上げた。
「それより“ぜんざい”食べやん?おばちゃーん!ぜんざい3つ、大急ぎで頼むねー!」
そんな風に明るい声を出す和葉に、蘭の表情は暗かった。
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その頃、バイクに乗っていた平次とコナンは、鞍馬寺の西門に到着していた。
「普通は『仁王門』の方から入るんやけど……こっちの方が近道でええやろ」
言いつつ平次は帽子を被った。
そのそばには青いバイクが停まっており、コナンはそれを視界に入れた。
奥へ奥へ、と入っていく2人を山林の方から覗き見る人影が1人(いわゆる黒タイツさん)。
山道を地道に登って行くと、僧正ヶ谷不動堂が見えた。義経が天狗に会い、修行をした場所だとか。
「それにしてもこの杉でっかいなァ……」
平次は不動堂よりも杉に興味を惹かれたらしく、杉を物珍しそうに眺めた。
「服部ー、ここも違う……」
平次に近寄ろうとするコナン。ふと左側を見て──「服部!伏せろッ!!」言いつつコナンは平次を地面に押し倒した。杉に矢が刺さる。コナンが気づかなかったら、平次の命を奪っていただろう。
矢を打った犯人は既に逃走を始めており、コナンは「待てェ!」と言って追いかけた。平次も慌ててコナンの後を追う。
坂を滑り降り、木に掴まり、ジャンプしながら飛び移って行く。まるで牛若丸のようだ。
犯人はコナンが視界に入れていたあの青いバイクで逃走した。
「くそっ!」
コナンが追跡を諦めようとした時──「工藤!乗れッ!」平次がヘルメットを投げてきた。そして走りながらコナンを回収。
ずっと走ると──やっと犯人の背中が見えた。
「捕まえたで……!」