第3章 ゴールデンアップル
「新ちゃん、瀬里ちゃん、蘭ちゃん、いらっしゃい!」
「母さん!」「お母さん!」「新一のお母さん!」
私達はそれぞれにお母さんに挨拶した。
「さっ、とりあえず車乗って〜!」
お母さんの愛車・銀のジャガーに乗って、ブロードウェイに向かう。
車中で蘭ちゃんは眠ってしまい、後部座席で一緒に座っていた私はくすくす笑った。
「蘭ちゃん寝ちゃってる」
「飛行機の中で寝ねーからだろ」
やがて蘭ちゃんが目を覚ますと、「どーして起こしてくれなかったのよ!?」と大騒ぎ。
「なんで瀬里奈お姉さんも起こしてくれなかったんですか!?」
「だーって蘭ちゃん気持ちよさそーに寝てるんだもん……起こすの悪くなっちゃって」
えへ、と笑ってごまかす。そこへ新一が助け舟(らしきもの)を出した。
「そもそもオメーが飛行機の中でちゃんと寝ねーからだろ。瀬里奈に八ツ当りしてんなってーの」
「あんな事件が起きた後に寝れるわけないでしょ?」
と、痴話喧嘩勃発。頼むから大人しくしててくれ、と思った矢先に、「舞台開演の1時間前に間に合わない!」とお母さんが慌て、
「奥歯噛み締めて何かに掴まってなさい!」
「はぁぁぁ〜!?」
いきなりそう言われ、身構える時間もなく車はスピードを上げた。
「きゃ!?」
突然のことに振り回される私。
パトカーがうろついているのに何てことをしているんだこの母親は。
そしてそれに加えて蘭ちゃん&新一の箱乗り。「無茶しすぎ!」と新一とお母さんを私が叱ったのはまた別の話……。