第15章 映画編・迷宮の十字路 〜前編〜
──その頃、蘭と園子は和葉と合流し、京都案内をお願いした。
今3人がいるのは清水寺だ。
「キレー……」
園子が清水の舞台から下を見下ろして言った。そしてからかうような口調になる。
「はぁー、こんな景色を……」
「真さんと一緒に見られたら、超ハッピーかもかも〜♡」
「もぉー、蘭たらぁ!」
「えへへへ、いつものお返し♡」
そう言って笑う蘭。だがそのそばで、和葉は手摺に寄りかかって沈んだ表情になっていた。
蘭が気遣うようにそばへ寄り、そっと訊いてみる。
「和葉ちゃん、服部君と喧嘩でもしたの……?」
和葉はゆっくりと顔を上げる。そして顔をそらした。
「……実は平次、ある事件調べに京都に通ってて……」
そして、和葉は意を決したように前を向いた。
「それに京都には、平次の初恋の人がいてんねん!」
その言葉に、蘭と園子は目を丸くして、顔を見合わせた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
女子チームがそんな話をしているとは露知らず、コナンと平次は蹴上インクライン疎水公園にある義経大日如来を見ていた。もちろん調査のためだ。
絵と見比べていたコナンは、「……はぁ」とため息をついた。帽子を前に被り直していた平次が「ここもハズレみたいやな」と半ば同情するように言った。
「昼飯にしよか」という平次の提案にコナンは「ああ」と頷き、2人は昼食休憩に入った。