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白い雪【名探偵コナン】

第15章 映画編・迷宮の十字路 〜前編〜


それから2人はまず五条天神に向かった。
義経記では五条大橋ではなく、ここで2人が手合わせをしたことになっているらしい。

だが、ここも特に有力な情報があるようには見えず、2人は五条天神を後にした。

「けど気に入らんなァ……」
「え?」

平次がムッとした表情になった。

「何で山能寺の坊さん、オレに依頼して来ぇへんかったんや?関西で探偵言うたらオレやろ」

言いつつ平次は自分を指差した。コナンは慌てて弁解する。平次の父親が警察だと言うことを踏まえ、警察に知られたくなかったとか。
コナンがそう言うと、平次はやや不服そうにしながらも納得はしてくれた。だがそう言われてみれば確かに妙だ。なぜわざわざ東京から探偵を呼び寄せたのか。
それからまたバイクで走って行き、着いたのは──

「着いたで、ここや」
「『弁慶石』……?」

コナンは説明板に書いてある石の名前をそのまま反芻した。
一見ただの石のようだが、色々と伝承があるらしい。だがコナンは絵と見比べて、「ここも関係ないみてーだな……」と残念そうに言った。
平次は実にあっさりと「ほな次や」と意識を次へ切り替える。変わり身が早いというか何というか、平次は探偵よりも案内人の方が向いている気がする。

バイクへ戻ろうとする2人の前に、ある男が立ち塞がった。警視庁での会見で佐藤と高木に「変人」扱いされていた、あの『おじゃる警部』こと綾小路警部だ。
彼は警察手帳を平次に見せ、「京都府警の綾小路です……」と自己紹介をした。

「『源氏蛍』の件で、色々調べとるみたいやけど……ここは大阪と違います、素人は首突っ込まんことや」

綾小路警部は平次の胸に指をとんっと置き、京訛りでそう言った。
そこへ、ポケットに忍んでいたらしいシマリスが綾小路警部の手に乗ってくる。警部はそれを愛おしそうに撫でた。
コナンは「は、はは……」と反応に困っていたみたいだが、すぐに平次に釘を刺した。

「よろしおすな……」

そう言って綾小路警部は2人の元を去った。どうやらそれだけ言いに来たらしい。
彼が去った後をじっと見つめる平次、そして彼が去ってから一言「どこにもけったいな刑事はおるもんやなぁ……」

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