第13章 ブラックインパクト
でもこれはまだ推測に過ぎない。いくら用心深いジンでも、あの仕掛けに気づくには時間がかかるはず──
「ええっ!?黒い車が2台連なって、鳥矢大橋からどんどん離れてる!?それ、本当に彼らの車なの!?」
ジョディさんが仲間から報告を受けたらしい。1台はポルシェ356Aで、もう1台はバイパー。ハーレーが乗り捨ててあったため、もう1人のバイクの女も恐らくその車に乗っていると思われる。
「ベルモットね……多分、ジンの車だわ」
私は小さく呟いた。ベルモットはキャンティとコルンから嫌われているから。
「そんなはずないわ!だって彼らの標的の土門さんの車は……今、私達の車の目の前を走行中で……まだ橋には着いてないんだから……」
どくん、どくん、どくん。心臓が煩いくらいに鳴る。
「ねえ……その2台の車……どこに向かったの?」
コナン君の質問に、ジョディさんが部下に訊いた。
「その車の行き先は?え?鳥矢4丁目の交差点を左に曲がって……杯戸町方向へ!?」
……まずい!
私とコナン君は同時に表情を変えた。
「妙だな……狙撃に失敗した杯戸公園に戻る気なのか……」
ジェイムズさんが腑に落ちないような表情で言った。だけど違う。彼らが向かっているのは──!
「いえ……彼らが向かってるのはその先の米花町……」
「バレちまったんだ……発信器と盗聴器が!」
コナン君も同調した。
「土門さんの車は後ろのFBIの車に任せて、米花町に向かうんだ!おっちゃんがやべえ!」
ジェイムズさんはコナン君の言葉を入れ、Uターンをした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「何!?おっちゃんが家に帰っただと!?」
コナン君は博士に電話を入れるなり、そう叫んだ。どうやらFBIの捜査官達が博士の家に着く前に自宅に帰ったらしい。
「説明は後だ!オレが連絡するまで家から1歩も出るんじゃねーぞ!」
博士にそう叫び、今度は小五郎さんに電話をかける。だが──
「おいおっちゃん!?おっちゃん!」
「どうしたの!?」
「おっちゃんが電話出ねーんだ!」
「はぁ!?」
何でこんな時に限って出ない!