第13章 ブラックインパクト
「そういえば……博士達はちゃんと2人を保護できたのかな」
ふと不安になって漏らす。コナン君はフッと笑って私の頭をぐしゃっと撫でた。
「博士なら大丈夫だろ。まあおっちゃんが大人しく言う事を聞くかってのが心配だけどな」
「だからそこが不安なんだってば……」
ぐしゃぐしゃになった髪の毛を直しながら、私がぶつぶつと言う。
「てゆーか、小さいのによく頭に手が届いたね」
「うるせーよ。オメーに言われたかねーよ」
2人の会話で、車の中が少しだけ和んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
少し前を走っていたバイクの女を、FBIの車3台が取り囲む。
バイクの右を走っていたジェイムズ達の車の窓が開いた。
「Excuse me……」
ジェイムズさんの隣ではジョディさんがニッコリと笑っている。
「聞きたいことがあるんだが……」
「バイク止めてくれる?」
ジョディさんが女に銃を向けた。逃げ道がないように思えた女は、バイクの前輪を上にあげ、前を走っていた車の上にバイクを乗せた。
「な!?」
全員が呆気にとられる中、女だけはヘルメットをつけているせいで表情が読めない。
だが、そこで思わぬ計算違いが発生する。
子供がボールを取りに来たのか、道路に飛び出して来たのだ。慌てて運転手が車を横にして急ブレーキを踏む。その勢いで上に乗っていたバイクの女が吹っ飛んだ。
間一髪で車は子供の前で止まった。だがバイクの女は地面に強く頭を打ち付けたらしく、血を流して気を失っていた。
FBIの捜査官達が彼女に駆け寄る。
「え……」
私はヘルメットを飛ばしたその女を見て驚く。
「何で……キールが……?」
コナン君の推理だと、このバイクの女は毒島に変装したベルモットのはず……。私もそうだと思っていたのに──
「どこかで革のつなぎとブーツに着替えたのね……。発信器と盗聴器が付いたローファーは多分そこに……」
いや、もしかしたら車かもしれない。彼らが着替えた服をどこかに置きっぱなしにするはずない。万が一ジンの車にあったとしたら、彼がそれに気づいてしまったら──
「……ヤバイ」
私はボソリと呟いた。
──小五郎さんが危ない。