第13章 ブラックインパクト
「ええ……この前、彼に殺し屋を差し向けた疑いのある、泥参会の女幹部ですよ……」
ジョディさんが答えた。目つきが悪くて鼻柱に大きな切り傷があるあの女か。
「その交差点……左に折れて!」
コナン君が盗聴器の音を拾いながら言った。左側のレンズには発信器の位置が表示されている。
「どう?彼らの声入ってきた?」
私が訊くと、コナン君は首を横に振った。
「いや……まだ遠すぎて何も……」
「そう……」
私はふぅ、とため息をついた。
多分、ジンとウォッカは動かない。土門さんの車は防弾仕様だったはずだから、キャンティとコルンは援護に回るはず。ならば主に動くのはベルモットとキールか。
「そういえばシュウの居場所分かります?」
ジョディさんがジェイムズさんに訊いた。
「ああ……赤井君なら私も捜している所だよ……」
ジェイムズさんが「この状況は彼に説明したんだろ?」とジョディさんに視線を送る。ジョディさんも頷いた。
「ええ……この子が取り付けた発信器と盗聴器のことも……そうしたら電話口で『そうか……』って答えたっきり、音信不通になってしまって……」
音信不通……。
「どうも恋人を亡くしてからの彼は、心を閉ざす傾向にあるようだ……。それ以前も開いていたわけではないがね……」
と、コナン君が「シッ!」と鋭く言った。
「聞こえてきた……」
「!」
どうやら暗殺場所はベインBなる場所らしい。
「それが次の暗殺場所なのかね?」
「うん……時間は16時……土門さんの車がどこかの橋を通る所を狙うみたいだよ……」
ジェイムズさんがコナン君に問い、コナン君も頷く。
「つまり、ベインBのBはブリッジってことね……」
「でも、どこの橋か特定できないと暗殺を阻止することは……」
ジョディさんと話していると、コナン君に鋭く「黙って!」と言われた。
「奴ら今地図を広げて配置を確認してる……もしかしたら地名を口走るかも……」
じっとコナン君が聞き終わるのを待っていると、彼の表情が少し変わった。
「どうしたの?」
「いや、今ベルモットが何かを叩いた音が……」
「叩いた?」
「ああ、『コンコンッ』って……」
コンコンッ?──まさか。
私はふるふると頭を振った。
そんなの分からないじゃない。落ち着け、私──