第13章 ブラックインパクト
「でも、発信器と盗聴器ってどういうこと?」
車中、コナン君と一緒に後部座席に座っていた私は彼にそう問うた。
「ああ、そっか。瀬里奈は知らねーんだよな」
コナン君はそう言って話し始めた。
事件は、小五郎さんが水無怜奈さんに『ピンポンダッシュ』についての依頼をしたことから始まったらしい。
他愛もない事件で、すぐにピンポンダッシュの犯人(子供)も見つかり、その場は一件落着──となったのだが……。
その事件の捜査で使った発信器と盗聴器が水無怜奈さんの靴裏についてしまい、それを取りに行くために彼女を追った。だが、盗聴器の向こうで彼女は黒の組織のボスにメールをしていたというのだ。
「ち、ちょっと待って?何で彼女がボスにメールしたって分かるの?」
「その後にかかってきた電話で、『あの方にメールを』って言ってたし、相手のことを『ジン』って呼んでたから間違いねーよ」
「メールアドレスの音……何かの曲みたいじゃなかった?」
私が訊くと、コナン君はこくりと頷いた。
「ああ。──七つの子だよ」
「……そ、う……」
私は歯切れ悪く言った。それならボスで間違いない。
「そんで、盗聴器から聞こえる情報を頼りに、奴らのターゲットと狙撃場所を特定して、何とか暗殺を止めようとして──」
「私が先に阻止しちゃったんだね。何か……ゴメン」
私はぺこりと頭を下げた。助手席からジョディさんが慌てたように言う。
「いえ、早く阻止できたのはいいことよ!気に病むことはないわ!」
「ありがとうございますジョディさん……」
私は小さく笑った。
「で、彼らが次はどこで土門さんを殺すかってことを突き止めたいのね?」
私が訊くと、3人が一斉に頷いた。
「でも、何で彼らがまだ議員にもなっていない、あの土門康輝を狙うんだね?」
ジェイムズさんが怪訝そうに問う。ジョディさんが答えた。
「多分、父親が有名な元官僚で政界に顔が利き、カリスマ性が高く、正義感の塊みたいな人だからなんじゃないでしょうか……。すでに未来の首相候補とまで噂されてますし……」
「それに、今殺せば、毒島桐子の仕業だと思わせることができますしね」
私も口を添えた。自分たちに抗う若い芽は摘むべきだという、組織の考えそうなことである。
「毒島桐子?」
ジェイムズさんが訊いた。