第13章 ブラックインパクト
それからまたしばらくして──“暗殺劇”当日となった。
「……よっし!」
軽く拳を握り、私は家を出た。外は雨が降っていたため、作戦的に中止になるかなーっと思っていたが、どうやらやるらしい。
「場所はエディP、ターゲットはDJ……って誰やねん!どこやねん!」
私は思わず関西弁で虚空にツッコんだ。
「どうしようかなぁ……」
私はふむ、と考え込んだ。とりあえず杯戸町方面に向かってみるか……と考え、私はそちらへ歩き始めた。
「Pは駐車場──パーキングか、公園──パークだけど……いかんせんエディが解けなきゃ……」
……ん?待てよ。エディって確か──
「そっか!てことはエディPはあそこか!じゃあDJって──」
パッと思いつくのはトランプか。ダイヤのジャック……ジャック……廷臣、兵士?ダイヤ……お金?いや、違う。ダイヤは確か──。そうか、だとしたら……!
「あの人だ!」
私はパッと表情を明るくさせた。
──エディはエドワード・ハイドを縮めた呼び名。スティーブンソンの怪奇小説『ジキルとハイド』に出て来るハイドのファーストネームである。つまり、エディPは『杯戸公園』というわけだ。
そして、ジャックは廷臣や兵士の意味を持つ。ダイヤは占星術的には地の性質を持っている。つまり、元自衛隊の幹部であり、名前に地を示す文字が刻まれている『土門康輝』が彼らのターゲットなのだ。
「でもあの公園は駐車場があったような……」
だがそのどちらかなのは明らか。「行ってみるしかないな!」私は雨の中を走り出した。