第12章 黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー
間に合え、間に合え──!私は車を飛ばした。誰も死なせはしない、ベルモットも、ジョディさんも、コナン君も哀ちゃんも!
そして、ボン!と何かが破裂した音を最後に、音が切れた。
「あっ、クッソ!」
「どうしたの?」
哀ちゃんが怪訝そうに問う。私はにっこり笑って首を横に振った。
新一の野郎。盗聴器ごと吹っ飛ばしたなアイツ。
キッ、と車を埠頭の端に停める。慌てて哀ちゃんが車の外に出ようとする。が、私はパッとその手を掴んだ。
「行ってどうするの?勝手に死ぬことは許さないわよ」
「全てを終わらせに行くだけ……瀬里奈さんは待ってて」
そう言って、哀ちゃんは私の手を振り切った。
「あっ、コラ!」
私も慌てて追いかける。
そこでは──コナン君が変装を解き、ベルモットに麻酔銃を向け、彼女を追い詰めていた。
「は、灰原!?瀬里奈も!」
コナン君が驚いたように言った。私は片手で彼を拝む。
「哀ちゃん逃げるわよ!」
哀ちゃんの手を引こうとする。コナン君も「に、逃げろ灰原!」と声をかけた。だがそれより早く──
「Good night baby……(おやすみ、ボウヤ……)」
ベルモットがコナン君が向けていた麻酔銃を彼に向け、コナン君に向かって撃った。
「And welcome……(そしてようこそ……)Sherry!」
ベルモットは哀ちゃん──シェリーに銃を向けた。