第12章 黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー
赤みがかった茶髪の女性……20歳前後……。
そういえば、ベルモットの部屋にあったダーツの盤……あそこに、何枚かの写真があった。あの部屋に入ったのはバスジャックの事件の前が最初で最後だから……あの時は暗くてよく見えてなかったし、話に夢中でそんなことを気にも留めていなかった。
抜かったな。私は内心舌打ちをした。
《……》
《ここからは質問!貴方が連れ出して殺そうとしていた写真の女性と瓜二つなこの女の子……もちろん証人保護プログラムを要請するけど……本当にあの写真の女性なの?》
……ということは、FBIはまだ幼児化までは突き止めてないのか。私はほっと息をついた。傍から見れば1人百面相をしている私に、哀ちゃんが怪訝な顔をする。
《まだあるわ!その写真の下に貼ってあった3枚の写真に書かれたCool guyとAngel、そしてRussianの意味……あの男の子は、確かに頭が切れるけど、ガイ(男)じゃなくキッド(子供)よね?》
(え……?)
私は驚いて眉を上げた。
Cool guyとAngelはコナン君と蘭ちゃんだろうけど──Russianとは……
(私?まさかね……)
私はふと浮かんだ考えに首を横に振った。
《そう……あのコナンっていう男の子……あのボウヤがこの少女の元から離れるまで手を出さなかったその理由……ジャックされたバスの中で、貴方が身を挺してまで守ったあのわけを……答えてくれる?》
それからほんの少しだけ後──銃声が2発、聞こえた。微かに飛行機の音も聞こえる。
《動かないで!》
どうやらジョディさんが発砲したらしい。
《あらあら、物騒なもの持ってるじゃない?日本警察の許可は取ったの?》
《こっちの警察との合同捜査は貴方の身柄を確保した後で要請するわ!もちろん、処分は受けるつもり……。その前にどうしても貴方に聞いておきたいことがあるのよ!》
《あら……何かしら?》
風の音だろうか、ゴオオ、と音が聞こえる。
《貴方……どうして……どうして歳をとらないの?》
ゴオォォォ……と風か飛行機の音が聞こえる。
歳を……とらない?