第12章 黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー
《殺人の仕掛けを仕組んだのは犯人ですがー、ブレーカーを上げて、殺人の引き金を引いてしまったのは、何も知らなかったひかるさん……。その彼女を傷つけないためにー、犯人と警察が示し合わせて嘘の調書が作られたんでーす!殺人は別の方法で行われたとね……》
そういうことか。私はガリっと爪を噛んだ。
確かに調書にはそう書いてあった。だが真実は少しばかり──いや、かなりか──違ったようだ。
《まぁ、知らなくても当然でーす!あなたが警視庁から盗んだ調書には、そんなこと書いてありませーんから……。裁判を乗り切って、Dr新出で在り続けるために盗んだ……あの事件の調書にはね……。違いますかー?》
《あ、あなたは一体……!?》
新出先生が驚いたように言った。ジョディさんは先ほどまでとは打って変わったような口調で話した。
《A secret makes a woman woman……》
女は秘密を着飾って美しくなるのよ……。ジョディさんはそう言った。
《Do you remenber? It was your last words to me……(覚えてる?貴女が私に残した最後の言葉よ……)
I’ve been repeating many times not to forget the enemy’s words……(そして忘れまいと何度も口ずさんだ……)
The enemy who killed my father……(父の敵の言葉……)
Right? Chris Vineyard……(そうよね?クリス・ヴィンヤード……)
No……(いや……)
Vermouth!!!》
ベルモットがマスクを剥がす音がかすかに聞こえた。