第12章 黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー
「じゃあ哀ちゃんは私が見張りについてるわ」
「!……いや、瀬里奈はパーティに出てくれ」
「……何で?」
コナン君の言葉に私は少なからずムッとした。明らかに私のことを組織から遠ざけようと必死なのが見え見えである。
「私だって組織に関係ないわけじゃないわよ?」
「これはオレ達2人の問題だからオメーは関わるな」
「何よその言い方!」
口喧嘩に発展しそうだった時、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
お母さんが応対に向かう。そこには──
「おお、工藤!姉ちゃんもおるやん!」
「へ、平次君!?」
まさか本当に来るとは。だがちょうどよかった。
「よかった平次君、実は1つ頼みがあって──」
「?」
平次君に事の顛末を説明すると、彼は快くOKしてくれた。ホッとしながらコナン君の方を見る。
「……で、新一?仕方がないから、“今回だけは”あんたの言うこと聞いてあげる」
「“今回だけは”を強調し過ぎだろ……」
「何か文句でも?」
私がじろりと言うと、コナン君はおとなしく頷いた。
「じゃあ、平次君はウチ泊まって行ったら?当日に大阪から来るのも大変でしょ」
「ええんか?いやー姉ちゃん太っ腹やな〜!」
「いいのいいの。お母さんもいるし、2人が3人になるくらい構やしないわよ」
そう言うと、コナン君が少し嫌そうな顔をした。
「なーによ新一。ヤキモチ?」
ニシシ、と笑うとコナン君が顔を真っ赤にして反論した。
「ばっ、そんなんじゃねーよバーロォ!」
「初々しいやんか工藤〜」
「いつの間にそんなことになったのかしら新ちゃんてば〜」
平次君やお母さんにもからかわれ、コナンは怒ったのか呆れたのか、大人しく家に帰った。
「もしかしたら──」
コナン君が帰った後、私は顔をしかめた。
「どうしたの?」
お母さんが私の顔を覗き込んで来る。私はパッと笑顔を貼り付け、「何でもない!」と言った。
「さっ、ご飯食べよ。朝も食べられるように多めに作ってあるから、平次君もどう?」
私がそう言うと、平次君もニッと笑った。