第12章 黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー
「じゃ、じゃが、哀君を残して君がここを離れるのは……」
博士が灰原を見やりながら言った。だがコナンは、招待状を博士に見せた。
「封筒と招待状は工藤新一だが……一緒に入ってた手紙の出だしは……」
博士の顔色が変わった。
「し、親愛なる……え、江戸川コナン様……!?」
コナンは少し恐れたように笑った。
「バレちまってんだよ、オレの正体が……。APTX4869で体が幼児化した工藤新一だってことがな……」
そして、恐らく灰原が元組織の一員のシェリーだってことも……。
コナンがそう言うと、博士がかなり焦った様子で「なぜ奴らはここに殺しに来ないのか」とコナンに反論した。
「さあな……その理由は分からねーけど……その原因の1つなら……何となく分かったような気がするぜ……」
ゴホゴホッとコナンが咳をする。もしかしたら灰原の風邪がうつったのかもしれない。
そこでコナンの携帯が鳴った。博士が「電話?」と訊くと、コナンは「シッ」と口元に指を立てた。どうやらメールのようだ。メールにはハートの絵文字だけで『OK』と書かれていた。
そのメールを確認したコナンは、携帯を閉じて工藤邸を見やった。
「残る問題は……」