第11章 揺れる警視庁1200万人の人質
だが──爆破予定時間になっても、爆弾は爆発しなかった。
「……も、もしかして……解体、した?」
私はほうっと息をついた。車を運転していた千葉刑事が東都タワーに車を戻してくれる。
「新……コナン君!よかった無事で!」
私はコナン君が見つかると同時に抱きついた。そんな私を呆れたように、少し微笑ましそうに見つめる子供達。
「よかった助かって!!」
「コナン君ならやってくれると思ってました!」
「さすがオレの子分だぜ!」
「ハハハ……」
元太君の台詞にはさすがのコナン君も苦笑する。私はそっとコナン君から離れた。
「……それで?2つ目の爆弾の場所……分かったんでしょうね?」
「ん?あ、ああ……」
まぁ、コナン君が分からないまま止めたなんてことはないだろうとは思っていたが。
「さっすが私の弟♪」
「な、何だよ気色悪ィな……」
私はくすくすと笑いながらコナン君を撫でた。
「で?ちなみにヒントは何だったの?」
「ああ……」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「EVIT?」
「そこまでしか見えなかったんだよ。でもそのおかげで分かったぜ、爆弾のありかがな!」
私はふむ、と考え込んだ。
予告文には確か『メジャーリーガー』って書いてあったはず。ここは日本なのに、犯人はなぜメジャーリーガーを選んだのか。そして出来のいいストッパーと延長戦……ストッパーって、野球だったら防御率のいい選手?延長戦でストッパーが無駄ってことか……?
待てよ……メジャーリーガー……英語……?延長戦……防御率……
まさか……。だがそれに該当する所は東京に400はある。
待てよ、ヒントはEVIT。どこかで見た綴り──そうか!
「そっか……!でも新一……あの名前の付く所って4つはあるんじゃ……」
「ああだけど考えてみろよ、この日曜に人が大勢集まってる理由なんて、大体は──」
「……全国模試……!」
私が閃いたように言うと、コナン君はニヤリと笑いながら頷いた。
「今日、全国模試をやってる所といえば……」
「あそこしかないってわけか……!」
だが、ここから先は警察の仕事。
コナン君の無事を見届けたは、警察に後を任せた。
「本当、自分のことしか考えられない……最低ね」
私の呟きは空に消えた……。