第10章 シカゴから来た男──P&A
「……で、どこに連れて行くんですか?」
私が訊くと、赤井さんは前を見たままで言った。
「俺の仲間が待っているんでな。ビルの一室なんだが……」
「仲間?……まさかとは思うけど……組織の人?それともFBI?」
私がはっきりと訊くと、赤井さんは少し驚いたように目を見開いた。
「組織について……何か知っているようだな?」
「それくらい調べたんでしょ、あなた達のことだから」
私はそう言ってふいっと顔を窓に向けた。赤井さんは私が話す気がないのを感じ取ったのか、何も言わなかった。
「着いたぞ、ここだ」
赤井さんが車を停めたのはあるビルの駐車場。私は荷物を全て持って車を降りた。
「俺の仲間が2人ほどここで待っている。恐らく、君も会ったことがあるだろうな……」
「へぇ、どなたかお会いしてみたいもんですね」
皮肉な口調の中でも、まさか──と言う不安は拭い切れない。
「ここだ。──私です、入りますよ」
赤井さんにしては珍しい敬語で、ドアをノックする。そこにいたのは──
「……え、ジョディさん?ジェイムズさんも……」
「……瀬里奈さん!?」
「君は……」
──そこには、ジョディさん、ジェイムズさんがいたのだ。
「な……何で?」