第10章 シカゴから来た男──P&A
アニマルショーが終わり、私は売店に立ち寄った。
「あっ、これ可愛い〜」
私は売店に売っていたホワイトライオン・レオンのストラップが手に取った。早速それを1つ買い、私は外に出ようとした。が……。
「あれ、瀬里奈姉ちゃん?」
聞き慣れた声に振り向くと、やはり……と思うほど予想通りだった。
「コナン君?少年探偵団のみんなも?」
「バスジャックの事件以来だね!」
歩美ちゃんが元気に笑った。私もつられて笑う。
「そうだね。コナン君と哀ちゃんは怪我平気なの?」
歩美ちゃん達の少し後ろにいた2人に声をかけると、哀ちゃんがこくっと頷いた。
「ええ、おかげさまで。瀬里奈さんこそ怪我は……」
「私は平気よ。切り傷とかばかりだったし」
そう言って笑うと、哀ちゃんがホッとしたように小さく笑う。
ふと私は歩美ちゃんと哀ちゃんの持っているストラップに目を向けた。
「ねえ2人とも……それ」
「あ、コレ?ショーが始まる前に灰原さんと売店で買ったんだ!」
ね!と歩美ちゃんが哀ちゃんを振り向く。哀ちゃんは少し嬉しそうに頷いた。
「じゃあ、私と歩美ちゃんと哀ちゃんでお揃いだね!」
「ホントだー!瀬里奈お姉さんとお揃いだー!」
歩美ちゃんが嬉しそうにそう言った。私はそんな彼女を見てくすくすと笑う。
「へぇー……オメーもそーいうのに興味あんだ?」
「コナン君、失礼よ」
私がじろっと睨むが、コナン君に言われた哀ちゃんは、
「あら、毎日飽きもせず血生臭いミステリーばかり読み漁ってる誰かさんの趣味よりかは、よっぽどマシだと思うけど?」
しれっと言い返した。コナン君は「ほっとけ……」と呆れたような顔をする。
そのやりとりに苦笑した私は、ふと記者に囲まれている髭の外国人に目をやった。
「誰だっけあのオジサン……」
私が呟くと、子供達を引率していた阿笠博士が教えてくれた。
「ああ……アニマルショーのスポンサーのランディ・ホークさんじゃよ!」
何でも彼はアメリカ南部のオクラホマ州出身で、石油で当てた金を元に最初は趣味で動物を集めていたが、息子のポールと娘のアニーに動物好きが移り、世界を股にかけてアニマルショーを興行するまでになったとか。
「ホークさん一言コメントを!」
マスコミに囲まれ、彼は叫んだ。