第9章 バトルゲーム 〜謎めいた乗客〜
やがてバスがトンネルから出る。犯人達が運転手を脅している所へ、コナン君が「よく言うよ……どーせ殺しちゃうくせに……」と挑発を仕掛けた。案の定、犯人達は「何!?」と興奮する。
──新一、どーするつもり?
「だってみんなに顔を見せたってことはそういうことでしょ?早くしないとボク達みんな殺されちゃうよ……。この爆弾で!」
そう言って、博士とコナン君で爆弾の1つを持ち上げた。それの平らな部分には、赤い落書きがあった。犯人達がその真意に気づく前に、コナン君が「早く!」と運転手に向かって叫んだ。
その言葉でハッと閃く。そうか、バックミラーから見れば、あの落書きは──
「STOP……」
私は呟いた。急ブレーキをかけろ、ということか。運転手がそれを汲み取り、ブレーキペダルを勢いよく踏む。
「うわぁっ!」
元太君と光彦君でもう1つの爆弾を押さえる。後ろに残っていた補聴器の老人は歩美ちゃんが「おじさんこっち!」と安全な方へ誘導した。
犯人達は勢いよく床に顔を打ち付けた。人質のフリをしていた女も顔をぶつけたらしく、痛そうな顔をしている。
苦し紛れに反抗しようとした犯人の1人を、コナン君が麻酔銃で眠らせた。
「新出先生!その女の人の両腕を捕まえて!その人のしてる時計は爆弾の起爆装置だ!」
新出先生が応じて、女の腕を羽交い締めにする。と、もう1人の仲間がコナン君に拳銃を向けた。だが──
「ジョディさん!?」
ジョディさんが彼に打撃を加える。「急ブレーキでバランスが……」などと言うが、犯人は拳銃の引き金を引こうとした。だが引き金が動かない。
セイフティがかかっていたのだ。
ジョディさんが何やら彼に耳打ちする。犯人の戦意が失くなったのを確認して、ジョディさんはおどけて「Ohー、降参ですねー!」と言った。
だが──
「逃げなきゃ、早く逃げなきゃ……」
新出先生が捕まえていた女が言った。
「さっきの急ブレーキで時計をぶつけて、起爆装置が動き出しちゃったのよ!」