第9章 バトルゲーム 〜謎めいた乗客〜
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それからまた何日かした頃──
「あれ、少年探偵団のみんなじゃない?」
「えっ、瀬里奈姉ちゃん!?」
私がバスに乗ると、少年探偵団のみんなと阿笠博士が乗っていた。
「瀬里奈お姉さんだー!」
「今日はどうしたんですか?」
「姉ちゃんもスキーやんのか!?」
子供達に口々に訊かれ、私はとりあえず1つずつ答えていくことにした。
「図書館に行くのよ。みんなはスキーやるの?」
「ええ。ま、博士はロッジで休んでることになるでしょうね」
哀ちゃんが答えた。
「あら、博士どうかしたの?」
私が訊くと、哀ちゃんが呆れたように言った。
「風邪引いたのよ」
「えー、何で?」
コナン君が肩をすくめる。
「スキーのビデオでイメトレしてたんだと」
私は「あはは」と笑いつつ、コナン君と哀ちゃんの後ろに座った。
その後ろから黒服の老人、風船ガムを膨らませている女が乗り込んで来る。あー、何か嫌な人だな。私はどちらともなくそう感じた。
そして──帝丹高校の校医・新出先生と、同じ高校の教師であるジョディ・サンテミリオンさんが乗り込んで来た。途端に哀ちゃんの様子がおかしくなる。
「哀ちゃん……?」
私が訊いても何も反応しない。そんなことも露知らず、ジョディさんが私とコナン君を目ざとく見つけて話しかけてきた。
「ハァイ!クール・キッド♡瀬里奈サーン!また会いまーしたねー!」
「ジョ、ジョディ先生……」
私は彼女のハイテンションに圧倒される。
そして彼らの後からマスクをつけた男が乗り込んで来た。どこかで見たことがあるような……と私は思ったが、よく思い出せないのでそのままスルーした。
そして最後に、スキーウェアとゴーグルを身につけた二人組が乗り込んだ。
バスの中でゴーグルまでつけるか普通。私がそう思った刹那、彼らはスキー板から拳銃を取り出し、──
「騒ぐな!!! 騒ぐとぶっ殺すぞ!!!」
──二人組はバスをジャックした。