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境界線。【安室透夢小説】

第9章 ××はいつも1つ。



安室side

知りたいこと、なんでも。。。
くのえさんに気づかれないよう、胸元のポケットのICレコーダーの録音ボタンを押す。

「.....如月知佳とは、どこで出会ったんですか?」

「.....近くの公園で。滑り台の所に座り込んでいたんです。自分の家には帰えれないっていうから私の家に連れて帰りました。家出かなって思って。最初は、1日だけのつもりだったんです。」

「最初は?」

「.................知佳くんの様子が変だったから。手を伸ばすとすごく怯えた表情をするし、服の下にはたくさんの痣が身体的虐待を疑うのが普通ですよね。それから、食事を作ると飲むように全部平らげて、お風呂も入っていないのか微かに悪臭も、服だって今の季節と全然あってないし、コレってネグレクトっていうんですよね。.............さっき私が話したこと覚えてますか?きっと、今私が話したこと、両親から虐待されてたことが知佳くんにとって、普通のことなんですよ。親から殴られて当たり前、十分な食事を与えられなくて当たり前。そんなの、悲しすぎませんか?」

「....だからって!他にも方法が…」

「あるっていうんですか?」

くのえさんにジロリと睨まれる。

「...私みたいな高校生がいくら訴えたって児相は動いてくれませんよ。厳重注意や形だけの面談だけして知佳くんはきっと両親のもとに返されます。それじゃ、きっと知佳くんはもっと酷い虐待を受けるだけです。」

「.....じゃあ、どうして今になって知佳くんを警察に引き渡すなんて。」

「....本当は腕や足の一本や二本折ってしまおうと思ってたんです。そうすれば、知佳くんはしばらく入院。親から離れることができる。その間に病院が虐待の事実に気づいてくれて、然るべき対応がされるかなって。.....でも、そんなことできませんでした。安室さんも一緒だったし、なにより、知佳くんのこと大好きだったから。」



..... くのえさんのしたことが間違っているだなんて誰が言えるだろう。
方法は正しいとは言えないが如月知佳を守ろうとしたこと。
あまりにも真っ直ぐすぎる。

如月知佳くん誘拐事件の真相をしらない他者からみたら彼女は誘拐犯。
そんなの悲しすぎる。
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