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境界線。【安室透夢小説】

第8章 普通の定義を述べよ。



くのえside




「ちーくん!こっちにパンダさんいるよ!」


安室さんを巻き込んでしまった。
やっぱり、2日前彼を家に泊めるべきではなかったのか。

でも、今日わたしを追いかけて来たのが安室さんで良かった。
この間、スパーで会った目暮やあの若い男の刑事であれば私はなにをしていたか分からない。


「... よっと、知佳くん、見えるかい?」

よく見えるように安室さんが知佳くんを抱き上げる。

「わー!......あんま動かないね。パンダ、」

「夏だから暑いのかな?」

知佳くんも楽しそうだし。
安室さんは笑ってはいるけど、楽しんではいないんだろうな。

「知佳くん、そろそろお昼にしようか。」

「うん!」
























「あ、ちょっと知佳くん、ほっぺ汚れてる。」

「え、んー、ここ?あれ?」

「はは。ここですよ。」

安室さんが知佳くんの、頬をナプキンでこする。





「.....なんか、 くのえお姉さんとお兄さん、ママとパパみたいだね。」

「な、なにを言ってるんだい?!」

安室さんの顔がほんのり赤くなる。
可愛い人だなあ。

「..... くのえお姉さんが、僕の本当のママだったらいいのにな。」

知佳くんの顔が曇る。

「...ムリだよ。」

知佳くんに聞こえるか聞こえないかの小声で呟く。


「.....私も知佳くんのママになりたいよー!そしたら、毎日絶対楽しいよ。」

「...どうして僕のママは くのえお姉さんじゃないんだろう。」

「どうしてだろうね。........親が子供を選べないように、子供も親を選べないんだよ。生まれた以上はどんなに嫌でも家族って言葉に縛られながらその集団の一員としているしかないの。」

「..... くのえ...さん?」






「なんてね!知佳くん、また見て回ろうか!午後からは小動物コーナーでご飯をあげれるんだよ!行こ!」
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