八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第5章 ページ5、喧嘩
ケイト「ホントは殴りたくなんかない!;
怒りに飲まれて、暴れたくなんかない!!;
いつもなら殺して、平気で笑って、でもって無理やりにでも「大丈夫だ」って言ってれば…
そうすれば……誰も!
誰にも!疑わなかったのに!!;
気付くことなんてなかったのに…っ;
いきなり過ぎるよ;
わかれって言われても、わかんないよ;
逆だったら、同じことやって欲しくないって思うけど
それが何でなのかさえも解んないんだよ!!;」
とめどなく涙が流れ落ちていく中
不意に、言葉が伝わって聞こえてきた。
小さい頃、周囲から言われていた声が…
「ちっ。そんなに追い詰められてないくせに」
「死ねばいいのにな」
「化け物だろ」
「閉じ込めた時だって勝手に壊しやがった。
弁償請求しようとしたら、あいつの母ちゃんが怒鳴り込んできてさあ」
「こわっ。ピアノ教えてるらしいけど行きたくねー」
「家で聞こえてくる怒鳴り声って、全部あいつのなんじゃねえの?」
「あいつの父ちゃんは優しいもんな」
「でもあいつ、血の付いた服で来る時だってあったろ?」
「ってことは誰かを刺したり、解剖したりとか!?」
「怖いって!
まあ、傷付けても傷消えるってのもあるかもだけど」
「いやいや、あいつはそういう奴じゃねえって」
「殴ったり蹴飛ばした時も平気そうに歩いてたぜ」
「あいつの姉ちゃん睨み利かせてたけど意味ねえっての!
どうせ仕返しとかできねえくせに」
誰も、解るわけなどない。
話そうともせず
ろくに向き合おうともせず、勝手に決めつけて否定されるだけ。
どれだけ相手のことを思って
自分で決めて、必死に殴り飛ばしたい感情にブレーキかけていても当然顔。
しかし逆に違う人が同じことをすれば「いい人」「優しい人」と言い続けて評価し
自分が評価されることなどなく、「100歳まで生きる人」と好き勝手に言われた。
そんな過去が瞬く間に見えた瞬間…
フエゴレオン「そうか…
一人きりで、戦うしかなかったんだな」
誰にも打ち明けられぬまま、抱え込んできた闇と
それでもなお、必死に貫いてきた「重み」を知った。