八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第5章 ページ5、喧嘩
ケイト「…」
きっと、初めてのことだったのだろう。
目を見開いて、ぽかんとした顔をして固まっていた。
フエゴレオン「…ケイト…」すっ
ケイト「!」びくっ!
そのケイトへ手を伸ばし、頬を触ると
身体をすくませ、びくつきながら驚いた。
フエゴレオン「…お前を、動揺させたくて言ったわけじゃない。
怒らせたくて、言ったのではない。
お前がそれを「一人きりで」抱え込むのが、私はたまらなく嫌だったんだ」
ケイト「!!」じわ
その言葉と共に頬を撫でると
ケイトはその目に涙を滲ませ、それは頬を伝って落ちていった。
ケイト「兄上…
悪いのは、私の方なんだよ」
フエゴレオン「!」
ケイト「今はもう、あの当時とは全く違う。
逆に恵まれ過ぎてて、怖いんだ。失うのも、また同じ目に遭うのも!
色んな不安だけじゃない。
怖いんだ。ただただ恐ろしいんだ」
そう言いながら不安げな表情を浮かべ
ケイトは、その頬に当てていた私の手を取った。
ケイト「大切にしてくれたみんなに、どう答えたらいいか
ちゃんと、頑張って考えてたんだよ。考えたんだ、一生懸命。
それでも…
やっぱり私には、こういうやり方しか解んないから!;
結局…ッ;
耐えきれなくなって、兄上に、ひどいことっ!;
ごめん!;ごめんなさい!!;」
きっと、殴り飛ばしたことを悔いているのだろう。
ぼろぼろと涙を零す姿を見て、伝わってきた。
ケイトもまた…私と笑い合う日常を、失いたくないのだと。