八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第15章 ページ15、喪失
そんな戦争の時でも
ケイトはまた、倒した相手を治していた。
「何でそんなことするんですか!?やっと倒したのに!!」
そう責めるように、共同して倒していた団員は言ったが
ケイト「帰りを待ってる人がいるんだろ?
大事じゃない命なんて…あってたまるかよ!」
その目からは涙が落ちていた。
頬も伝わぬほど、いっぱいにためて…
苦しそうに、絞り出すように呟いていた。
命を失うということがどういうことか…
それを見た団員は
それが痛いほどわかっているからこそなのだということを察し、それ以上は何も言わなかった。
戦争が始まってから、家に帰れない日が続いた。
そうして一月の中旬に差し掛かった頃、大きな異変が起きた。
ケイト「くっそぉ!
いつまで続くんだよ、この戦争は!;」
そう叫びながら、圧倒的な力を使って一瞬で500もの大軍を瞬殺した。
しかし、その場にいた誰もが
一人だけ気絶に至り切っていないなどとは、思ってはいなかった。
「流石ですね、ケイト先輩!」
ケイト「油断するなよ?いつ敵がどこから攻撃してくるかも
!!危ない!」どんっ!!
咄嗟に話しかけてきた私の団員を突き飛ばす中
気絶し切っていなかった敵が、ケイトへ向けて撃ってきた。
無論、私も防ごうとしたわけだが
流石に離れていたため、間に合うはずもなく…
ケイト「!」ぎゅっ!
攻撃が当たる間際、覚悟を決めてか目を瞑ったケイトが見えた。
だが、そこに割り込んでくる人がいた。
だっ!!
ざしゅっ!!!!!
覚悟を決めたのに襲い掛かってこない痛みに疑問を感じ、ケイトが目を開けた瞬間
ケイト「!!!!…え?」
魔法帝「ごふっ」
どさっ
その目に映ったのは…
心臓を貫かれ、血を吐きながらケイトへと倒れ伏した魔法帝だった。