八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第3章 ページ3、光
「!
子供がいる!
ベッドにこんなに縛り付けられて…大丈夫か!?助けに来たぞ!」
必死に問いかけられる中
何も返せず、声も、言葉も出てはこなかった。
長年、何も話さぬまま、飲むことさえも出来ぬままでいたから
仕方ないともいえる。
私を生かしていたのは、きっと…
私の体内の魔(マナ)が、周囲から魔を吸い取って、栄養分にしていたからだと思う。
息に関しても
いじめられていた時に水に沈められていると、同じような現象が起きた。
体内で魔が酸素を作り出していたと解ったのは、その時だった。
「意識があるのに、精神が…!
今縄を解きます!」
やっと縄がぶちぶちっと千切られて解かれ、解放された。
しかし…
いたぶられてきた心までは、決して治ることはなかった。
会話さえも成り立たず、声も出ないそれに
遠くから、心配そうに見つめてくる視線が…
なぜか、温かく感じた。
それぐらいに…
心は凍えていたのだろうか……
その考えを最後に、意識を再び手放した。
それから後、結果として
ハーミット家の最後の生き残りを、どこの誰が引き取るかという話になり
ヴァーミリオン家が引き取ることとなった。