第3章 【HQ】ダーリンは心配性!
彼のせいで新入生は大概練習が終わり次第三年生の後ろに隠れて逃げ出すのが常だ。
彼の自己練習に付き合わされたら最後、精も根も尽き果てるまで絞り尽くされるのだから。
それを止めるのが赤葦である。
『木兎さん、オレが付き合いますから』と、肩がわってくれた。
『オレも体力つけないとエースについていけませんしね』とは赤葦の談である。
それを聞いた木兎は『エース!!!』と喜んだ。
それを聞いた及川は聞いただけで胸焼けがする、と顔をしかめたし影山は赤葦さんカッケーと目を輝かせた。
そんなボケとツッコミ垂れ流しの三人であるが不思議と金曜にはここに集まっている。
「あー、何だっけ……そうだ、トビオのとこンさわやかくんが冷たいって話か。トビオが勘付くって余程なんじゃ……」
「何かあったのか?」
三年二人は取り敢えず話を聞く体制に入る。
「や、何か…二人きりの時はむしろ優し過ぎるとか思うくれーなんすけど、学校だと最近全然触ってくれねーし、無視、…されました」
うっと影山は手で顔をおおう。
あー、と二人は顔を見合わせる。
「それって好き避けってやつじゃん?」
及川はお上品な仕草でカップを傾けつつ云う。
「すきよけは分かんないけど、それ何か分かる。うちのあかーしも学校だと冷たい!」
「ぼっくんの場合、赤葦くん疲れ過ぎて構いたくないんじゃない?」
「好きな人といて何で疲れるんだ?」
首を傾げる木兎に及川がハァとため息をつく。