第4章 The walk to paradise
それから……どれくらいの時間が経っただろう。
三月?……もう半年?
暦の無い生活ではそれすら漠然としてしまう。
犬族達と穏やかな暮らしを続けながらも、『空神様』への想いは一向に霞む事は無かった。
それ所か、日に日に強くなる想いに私は縛り付けられている。
『空神様』は今、何処に居るの?
怪我したりしてないかな?
苦しんでないかな?
今は只々……『空神様』に会いたい。
そして、ある良く晴れた暖かい日に………突然轟音が響いた。
「この音は……」
零れ落ちた呟きと共に空を見上げると、戦闘機が驚く程の低空飛行で突っ込んで来る。
「…………紫電改!」
その機体は私達の頭を掠める様に降りて行き、木々を薙ぎ倒しながら着陸すると
「ああっ……何だァ、バカヤロウ!
止まってんじゃねーぞ、コノヤロウ!」
初めて此処に現れた時と同じ様に大声で悪態を付きながら『空神様』は紫電改から飛び出して来た。
犬族達は喜び勇んで『空神様』に向かって駆け出して行く。
だけど私の足は自分でも驚く程に震えてしまって上手く歩けないでいた。
「何だァッ!
やんのか、コノヤロウ!
懐くんじゃねェ!
オイッ…コラッ………」
犬族達に揉みくちゃにされながらも『空神様』は嬉しそうだ。
そしてそんな犬族の輪から脱け出した『空神様』の目が私を捉えた。