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Where is God?~ドリフターズ~

第2章 I know you


フンフンと鼻歌を鳴らしながら私が渡した襟巻きを眺めていた『空神様』の動きがピタリと止まり

「手前ェ………か?」

と、突然私の名前を呼ぶ。

「どうして……私の名前……?」

私は心底驚いて真っ直ぐに『空神様』を見つめた。

「この刺繍された手前ェの兄貴の名前……
 俺は知ってる。」

「え……兄さんを?」

「ヤップ島で一緒だった。
 俺の部下だった。
 俺は先にフィリピンへ行かされたから別れちまったが…
 そうか、アイツ………特攻で逝っちまったのか。」

初めて見る『空神様』の寂し気な表情に、私の胸はギリギリと締め付けられる。

そして『空神様』は私の顔をじっと見つめながら語り出した。

「アイツとは良く話をした。
 何時もアイツは『俺には可愛い妹が居る。
 妹のを立派な男の元へ嫁に出す迄は死ねない。』と言ってた。」

兄さんがそんな事を……。

聞かされた話に私の視界はじわりと滲んだ。

「俺はそんなに器量良しの妹なら
 俺の嫁に寄越せって言ったんだ。
 ………アイツは笑いながら
 『貴方になら喜んで差し上げます』と答えやがった。」


兄さん……兄さん……

いつも私を可愛がってくれた。

どんな時でも私の幸せを願ってくれてた。

大好きだった兄さん。


遂に耐え切れなくなった私の目からぽろぽろと涙が零れ出す。

すると突然私の身体は『空神様』の両腕に捕らわれ、その胸に押し付けられる様に抱き締められてしまう。

ドクドクと心臓が痛い程に高鳴ってピクリとも動けない私の耳元で『空神様』が艶やかな声で囁いた。

「だから手前ェは俺の許嫁って事だ。
 は………俺のモンだ。」
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