• テキストサイズ

幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第8章 第八章


「分かってたんです。和泉守さんは土方の刀で…陸奥守さんは坂本の刀だって事。でも上手くやっていけると思ってたんですよね…」
「…なんでそう思えるんだよ」
「守るモノや譲れないモノがあったから。良きライバル……えっと競争相手に思えたんですよね?」

想いは違えど譲れないモノが二人にはあった。だからこそ和泉守さんと陸奥守さんが犬猿の仲なのも分かっていた…いや、分かっていたと思いたかったのだ。

「いや、間違ってねぇよ…陸奥守は強い。それは認めている。でもなー…どうもあの顔を見るとな」
「昔を思い出してしまうんですね…」

私の言葉に頭をかいた和泉守さんは不機嫌そうに頷く。打粉を止めずぽんぽんさせる私を見下ろした。

「うーん。一緒にいれば上手く行くんじゃないでしょうか…良い所も悪い所も見れてお互いの事をもっと深く分かりますし」
「それで刀を出しそうになってこんなにボロボロなんだが?」
「それなら…私も同席しますよ。言うならば歴史を守る同志という訳ですし?」

私はうんうんと真面目に頷いて見る。すると和泉守さんはキラキラと目を輝かせて私の両肩を掴んだ。近い距離にビクッと肩が浮いた。

「同志か、主…いい事いうな、久しぶりに聞くが懐かしく思えるねぇ…」
「えっと…同志と思えば見方も変わって来るのでは?」
「同志なぁ…まぁ主の気持ちは分からなくもねぇけど」

和泉守さんは曖昧に言い渋る。私はやはり駄目かと内心項垂れると小さく呆れ気味に笑った和泉守さんがいた。くしゃくしゃと私の髪の毛を撫で回す。私がむすっと表情に出して怒れば、和泉守さんは楽しげに目を細めて口を開く。

「主の命令なら少しくらい仲良くしてやっても良いぜ?」
「ありがとうございます。でも無理をして仲良くならなくてもいいですよ?ただビジネスパートナー。そう仕事仲間と言った考え方なら上手く行くと思うんです」
「…アンタやっぱり変わってんな」

だって苦手意識のある人とこの本丸で暮らしているのにストレスを溜めないのは可笑しい。しかし大人だから上手くやらなければいけない、というのはあるが四六時中顔を合わせたら嫌気もさすだろうと思う。まぁ…仲良くなっては欲しいけれど本当に嫌だというなら私はなにも言わない、寧ろそれでいいんじゃない?と好きにさせておくつもりである。しかし和泉守さんは私の言葉に驚いた様子で大きく目を見開いて見えた。
/ 85ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp