第7章 第七章
いや、それよりナニかが当たってるんだけど…これはあれか、わざとか?当ててんだよ。っていうあれですか?それにしてもこれ以上戯れると私ではなく、彼の貞操の危機が訪れるのではないだろうかと思う。淫らな彼に私の欲情に入って来てゾクゾクしたのだ、このまま行くと私が彼を犯してやりたくなってしまう為なんとか理性を止める。
「亀甲さん…また今度お願いします、今日はそんな気分じゃないので…」
「僕じゃ、ご主人様を癒してあげられないのかな…」
「いや、そう言う訳じゃないんですけど…」
多分神妙な面待ちで『君が余りにも可愛らしいから、つい犯してしまいそうになるんだ!』と伝えた所で亀甲さんからすれば『喜んで!』と言う訳になる。それじゃあ結局の所、私が困るんだよ…審神者になって早々職を失うのは勘弁である。見ていなさそうに見えても、きっと見えない所で政府に監視されているようにも思えるし…極力そう言った雰囲気は控えて行きたいと思っている、自分の幸せの為にだ。
「亀甲さん、私は貴方に癒して貰いましたよ?」
「…それでも僕は」
「亀甲さん…まだ満たされませんか。どれくらい私の愛が欲しいと?」
欲深いのかは分からない。けれど私を見る亀甲さんの瞳が欲で濡れていた。愛情はあげられる、しかし危ない関係にはなれないし…職を失いたくはないので、なるつもりはない。亀甲さんの首筋に触れていき、キツく縛ってある紐を見下ろしながら指先に触れて見る。すると私の手首を掴んだ彼は、懇願するように私を見上げて来た。
「戦で散るのは当たり前…だからこそ…主には愛してもらいたいんだ…」
「!亀甲さん」
悲しそうに、寂しそうに…彼は私に伝えて来た。なぜかその言葉に私は大きく揺すぶられる。私は亀甲さんのオデコをめがけて、私のオデコをくっ付ける。とても鈍い音が聞こえた。ぐわんぐわんする私は痛みに耐えながらも彼の胸ぐらを掴み、顔を近付けさせる。
「戦で散るだ?ふざけんな…何のためにお守り持たせたと思ってんのよ。絶対訳の分からない敵になんてアンタを殺させない、死ぬなら私の隣で死になさい!いい?またそんな悲しませる台詞を口にしたら、今度は頭突きじゃ済まないから!」
「!ご主人様…」
「私の刀なんだから死ぬなんて軽々しく口にしないで。分子はいくらでも作れるけど貴方は一人しかいないんだから…」
私はむっとして不貞腐れるように呟いた