第6章 第六章
万屋にはなんでも売っていて驚きを隠せなかったが、お陰でなんでも買えた。色々と物を買い揃えて、会計を済ませる。小夜くんはとても遠慮をする性格で私はそっと彼に三色団子が3本入った袋を渡す。沢山買いすぎてこれ以上食べられないからと笑い飛ばすように伝えた。嬉しそうに小さく微笑んだ彼の頭をぽんぽんと撫でて歩いて行く。短刀達も色々と買えたようでほっこりしているようだった。本丸に帰ったらきっと羨ましがられるだろうなー…と考えてお土産が買って来たつもりである。それでもまだ一緒に行きたいという刀剣男士がいるならば、連れて行こうかと思った。
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「只今審神者、帰って参りましたー…」
「あっ、主!お帰りなさい!というか狡いよ、主!俺も行きたかった!」
「ふっふっふっ!加州くんは必ずそういうと思っていたから新しい爪紅買って来て置いたよ?」
「!本当に!?いいの主!」
興奮したように詰め寄る加州くんにドヤ顔で頷いた私は新しい爪紅を彼に渡した。すると嬉しそうに抱き締めて来る、勢い良く抱き締めて来た為、広々とした玄関に尻餅をついた。色々と買って来た物を一振り、一振り渡して行く。小夜くんの名を呼び江雪さんと宗三さんを呼び寄せた。
「なんです…?」
「プリザーブドフラワーです。是非とも部屋に飾って下さい…」
「…僕が貴方に物を貰ってなにになると仰るのです?」
「宗三さん、私からではありません。小夜くんがお兄さんである宗三さんにあげたいと思って選んだ物です。それでも受け取っては貰えませんか?」
いやはや…なんて意地の悪い言い方だろうか。私はあえて小夜くんの名を使い、嫌がるであろう彼は必ず受け取ってくれると思ったからだ。きょとんとした宗三さんは驚いたように小夜くんを見つめていう。
「小夜が…選んで下さったのですか?」
「僕、主と買い物して…楽しかった。だから…みんなにも…」
「…ありがとうございます、僕はとても幸せです」
宗三さんは微笑みそっとプリザーブドフラワーを受け取ってくれた。江雪さんは目を細めて二人を見つめており、私はコソッと彼に近付いた。
「江雪さん、微笑ましいですね…江雪さんの分もありますから受け取って下さいよ?」
「ありがとうございます…しかし何故花を?」
「それは江雪さんが一輪の花を持ち歩いているから、手に持つ紫色の綺麗な花はスミレですよね?」
「えぇ花は好きです…」