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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第1章 第一章


苦い表情だが必死な私を振り払うような真似はせず、ずっと見つめ続けている。き、気まずい…非常に気まずい。長谷部さんか鶴丸さんに助けて、そう考えていれば呟くようにいった大倶利伽羅さんがいた。

「離せ」
「いやです、もしも私が手を離したら大倶利伽羅さんは逃げると思うので」
「……はぁ。逃げないからこの手を離せ」
「ありがとうございます!」

パッと手を離す私に大倶利伽羅さんの表情はやはり険しい、けれど私は引かずに話し掛ける。大倶利伽羅さんと鶴丸さんは知り合いのようで、振り回されているのは見て分かる。一人でいて馴れ合いを好まない彼だが、それってとても寂しい事じゃないだろうかと思う。

「なんだ」
「えっと…大倶利伽羅さんと仲良くなるにはどういった関わり方をすればいいのか考えていました」
「俺は一人でいい、一人で戦い一人で死ぬ」
「それなら、貴方が死ぬなら私も死にます」

真っ直ぐにそらす事なくじっ…と大倶利伽羅さんを見上げる。ピクッと小さく反応を返した彼は冷ややかな視線で睨んだ。私はニコニコと笑う。

「!…どういうつもりだ」
「私はこの本丸の主です。付喪神である貴方にこういう事をいうのは可笑しいのかも知れませんが…貴方はもう私の刀であり、私の大切な仲間。だから勝手に死ぬのは許しません。例え貴方が死にたいと仰るなら…使命を果たしてからにして下さい。なんでしたら私が刀解してあげますよ?あぁ。でも殺すというのは気が引けますので…殺させないで下さいね?」
「どっちなんだ…」

呆然とした様子で私を見下ろす大倶利伽羅さんの手のひらに触れて、両手をそっと包み込む。笑う私に大倶利伽羅さんは顔を背けて「何処で死ぬかは俺が決める」と呟いていた。うん。それでも構わない、それでもいい。だから…

「今は私の傍で生きて下さい。私には大倶利伽羅さんという目の前にいる貴方が必要なんです…」

なんという口説き文句だろうか。正直に言えば自分でもこんなに素直に言葉を発せられるとは思っていなかった為内心とても驚いている。けれど大倶利伽羅さんのタイプは変化球よりも直球でいった方が気持ちを素直に受け止めてくれると思ったからだ。流石の大倶利伽羅さんは目を見開いて固まってしまっていた。ヒュー!と話しを聞いていた鶴丸さんは冷やかすように口笛を吹いた。

「伽羅坊。ここまで主に言わせておいて…勝手に死ぬなよ?」
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