第10章 願の先に
その夜、無事に私が戻ってこれたということで船上では大きな宴が開かれていました。
私がどことなく吹っ切れたのが伝わったのか、今はほとんどの人がお酒に飲まれながら騒いでいます。
しばらくこんなに賑やかな場所に居なかったので、本当に私は戻ってこれたんだなって改めて思うことができました。
「アリス、お前はもう俺の娘だ。勝手に出ていくのは許さねぇぞ」
とお父さんも言ってくださいました。
お父様と違って私を見てくれてるそれが素直に感じることができてうれしかったです。
「アリス!飲んでるか?」
「これも食べろよ!」
皆さんたくさん私に絡んでくれたので、気が楽でした。
やっぱりみんなでワイワイしながら食べるご飯が一番おいしいですね。
久しぶりに幸せと感じることができました。
夜もだいぶ更けてきた頃、流石に疲れてしまったので部屋の戻ろうかとも思ったんですが何だかもったいないような気がしたので久しぶりに子猫の姿になってみました。
うん、なんとなくこの姿になると落ち着きますね。
ど真ん中で寝ているときっと邪魔になってしまうので、端っこの方でにぎやかさを感じながらウトウトしていました。
「アリス?どこだ?」
もう少しで寝落ちしてしまうというときにエースに呼ばれた気がしました。
「お、いたけど寝ちまってるかな?」
いえいえ、一応起きてますよ。
眠気を我慢して体を起こすと、エースの顔が目の前にあったので驚いてしまいました。
「悪いな起こしちまって、今ちょっといいか?」
「みゃ~」
その返事を肯定と受け止めてくれたエースは私を腕の中で抱きしめて、後部の方へと歩いていきます。
あ、あれれ?
こっちには人がいませんよ?
エース、どうしたんですか?
一応ぺしぺしと尻尾で叩いてみると、エースは私の頭を撫でるだけでドンドン人気のない方へと進んでいきます。